帰農、今日、明日

23年取材・制作 赤木 健吾

自分の言葉に説得力をつけるため
常に結果を出していきたいと思います。
なぜなら、僕のアドバイスで
みんなにハッピーになってもらいたいから。

アスパラ農家

赤木 健吾

Kengo Akagi

今年二度目の収穫を迎えた赤木さん。就農一年目から収量の結果を残し、更には持ち前の努力・探求力が功を奏し、味に感銘を受けた某大手企業からの取引オファーまで来ている。そんな赤木さんが強調するのは「新規就農者(特にIターン者)に一番必要なのは、やる気よりもコミュニケーション能力」という点。

「平戸は良くも悪くも田舎。自分から輪に飛び込まなければ地元の人からは来ない。農業は最初は分からない事だらけなので、困った時、いかに相談できるか、いかに信用してもらえるかが大事です。昔は農業は誰でもできる、仕事が無いなら農業をやれと言われたものだけど、今は常に頭を使って・調べて・動き続けないと結果を出せない=生活できない。スローライフを夢見て来る人もいるけど、実際は全然スローじゃないです」と、敢えて厳しく語るのは、実際に夢破れた仲間を知っているからこそだ。

そんな赤木さんに、平戸でアスパラ農家になりたい人への成功ポイントを聞いてみた。

「自分がそうだったように、ハウスを新設する必要はない。辞めてしまったアスパラ農家さんが放置してるハウスも多く、その活用が一番お金がかからない。ほとんどが日本製で、新設するより風に強いこともある。でもそんな情報は新規就農者では入手しにくいですよね。だからこそ地元の人と仲良くなり、様々な情報を入手するコミュニケーション能力が必要なのです」。

そう言いながらも赤木さんは今年、Iターンの後輩就農者の農場にわざわざ足を運び、自分のノウハウを惜しみなく伝授し続けている。

「まだまだ偉そうな事言える立場じゃないですが、だからこそ自分自身が圧倒的に実績を上げ、言葉に説得力を付けたいと思います。仲間みんなでハッピーになりたいから」

  • 赤木さんに土地を貸している出口さん。 赤木さんに土地を貸している出口さん。85歳ながら今でも現役のアスパラ農家である。
  • 有機肥料を存分に与え、丸々と育った赤木さんのアスパラ。 有機肥料を存分に与え、丸々と育った赤木さんのアスパラ。ずっしり重くて、甘み・うまみには定評がある。
  • 前津吉地区の赤木さんのハウスは、平戸南部に新しく設置された風車の麓に建つ。

Interview

―農業を始めたきっかけを教えてください。

元々実家が平戸の兼業農家で、自分は農家は儲からないと思っていたので、もう一つの家業の鉄筋屋を手伝いました。その後平戸市内外で運送会社など職を転々としていましたが、平戸に戻り福祉の仕事をしていた時に知人がアスパラの新規就農者となり、話を聞いているうちに「これなら農業でも将来暮らしていけるかも」と思い始めました。

―実際始めてみていかがですか?

研修中にこの場所に農地が決まるなどトントン拍子でした。もちろん最初は何をどうすればいいのか分からず不安だらけでしたけど、先輩農家さんに色々と教えてもらうことで何とかやれたという感じです。

―赤木さんのアスパラは味に定評があるとのことですが、秘訣は何ですか?

自分が食べて美味しいと思うアスパラを追求した結果だと思います。特に肥料に関しては甘くなるようにアミノ酸多めの有機肥料をたっぷり与えています。

―農業の楽しさ・やりがい、逆に厳しさはどういうところですか?

楽しさは会社組織と違って時間に縛られないことですね。一方、天候や作業内容では時間にものすごく縛られます。やりがいは、やった分だけ結果に反映されること。
逆にやらなかったら、またはやり方を間違ったら、それも自分に跳ね返ってきます。

―最後に平戸で就農したいという方々に対して一言お願いします。

就農する前にしっかりと平戸の土地柄や補助金などを下調べ・下準備をした方がいいと思います。先を見据えてすぐに行動しないとどんどん遅れてしまいますので。困ったことがあれば先輩農家さんを頼ることが大事だと思います。みんなが親身になって相談にのってくれます。僕たちと一緒に頑張って、平戸のアスパラを全国一にしましょう!

動画紹介

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